わたしどもの清𧮾園が設立されてから、50年が経ちました。
初代理事長が、この緑豊かな谷あいの地に、定員50名の特別養護老人ホームを 建てたのが、清𧮾園の始まりです。
初代理事長には、夢がありました。
花が咲き乱れ、蝶が舞う花園で、お年寄りに充実した日々を過ごしてもらう、 リハビリテーションに力を入れ、お年寄りの家庭復帰、社会復帰を目指す、 という夢でした。
清𧮾園が設立された1970年代初めには、まだ介護保険制度は、発足していませんでした。高齢者福祉施設について社会の理解も、十分であったとはいえません。身寄りのない、恵まれないお年寄りのお世話をする養老院のイメージが残っていました。そのイメージを払拭し、「お年寄りの楽園」を創ろう、というのが清𧮾園の出発点です。
それから50年、清𧮾園は、ショートステイを含め定員140名の特養ホーム、2か所のデイサービスセンター、ケアハウス、グループホーム、訪問介護、訪問入浴、訪問給食の各事業を営む、鹿児島市内でも屈指の高齢者福祉総合センターに発展しました。
「福祉は人、人は心、心はお年寄りへの限りない愛情。」初代理事長が繰り返し述べた言葉です。
清𧮾園で働くスタッフは、200人を超えますが、「お年寄りへの限りない愛情」という創業の精神は、いまもみんなで共有しています。私も、この創業の精神に基づいて、日々清𧮾園を運営しています。
いま私が取り組んでいる課題は、3つあります。
まずデイサービスセンターの拡充強化です。
団塊の世代の全員が後期高齢者となる2025年を控え、介護や支援を必要とするお年寄りは急増します。自宅で暮らすこれらのお年寄りに、食事、入浴などの支援や生活機能の訓練をし、楽しく一日を過ごしていただく場所を提供するデイサービスセンターの役割は、ますます重要になります。
創業以来の伝統であるリハビリテーション機能を強化し、ご利用者様から好評を得ていますクラブ活動を充実した新デイサービスセンターを2023年9月に改築オープンさせました。
次に介護業務のデジタル化と介助作業のロボット化です。
介護スタッフの事務処理の負担を軽くし、より多くの時間と労力をご利用者サービスに集中するために、業務のデジタル化は不可欠です。
ご利用者様の多様なニーズに適切に応え、スタッフの身体的な負担を軽減するうえで、介助ロボットの導入も必要です。
最後に地域社会との交流です。
かつて清𧮾園は、地域住民の皆様と密接なつながりを持っていました。春の運動会、夏祭り、秋の文化祭には、地域住民の皆様が多数参加され、地域と施設を結ぶ大切なイベントでした。地域のボランティアの方々が清𧮾園を訪れ、様々な奉仕活動をしていただきました。
しかし、コロナウイルスが、地域社会と清𧮾園との濃密なつながりを分断してしまいました。
お年寄りにとって、何よりも幸せなことは、住み慣れた地域でいつまでも健やかに暮らせることです。そのためには、地域社会と高齢者福祉施設の連携が不可欠です。コロナウイルスを乗り越えて、地域社会との交流を復活させようと思います。
清𧮾園は、これまで述べましたような経営理念と将来の展望をもって運営されています。お年寄りの方には、きっと十分なご満足をもって、ご利用いただけるものと確信いたします。
福祉の世界で働くことを目指している方には、自分の能力が発揮でき、生き生きと働ける職場であることをお約束いたします。
清𧮾園は、地域で一番質の高い高齢者福祉サービスを提供し、地域で一番働きやすい高齢者福祉の職場であることを目指します。
社会福祉法人恵心会 理事長 藤川 忠宏